退職代行を使うと給付金はどうなる?離職票と傷病手当金の注意点

退職代行を使っても、失業手当も傷病手当金も受け取れます。給付の要件に、退職の伝え方は含まれていません。
ただし離職票の受け取りと事業主証明の依頼という、会社を通す手続きが残ります。ここをどう進めるかを、契約前に確認しておく必要があります。
- 退職代行を使っても給付金が受け取れる理由
- 会社を通さないと進まない2つの手続き
- 契約前に確認しておくこと
体調を崩していたり、会社と話すこと自体が大きな負担になっていたりする場合、退職代行を検討される方がいます。
そのとき気になるのが、「給付金は受け取れるのか」という点です。この記事では、その関係を整理します。
給付金は受け取れます
失業手当と傷病手当金の支給要件に、「退職の意思を自分で伝えたこと」は含まれていません。
| 給付 | 主な要件 |
|---|---|
| 失業手当 | 雇用保険の加入期間、働ける状態であること、求職活動を行うこと |
| 傷病手当金 | 健康保険の被保険者であること、労務不能であること、給与の支払いがないこと |
| いずれにも「退職の伝え方」に関する要件はありません | |
退職代行を使ったことが理由で、給付が受けられなくなることはありません。
会社を通す手続きが2つ残ります
ただし、退職したあとにも会社の対応が必要な手続きが残ります。
離職票について
会社には、離職証明書をハローワークへ提出する義務があります。退職代行を使った場合でも、この義務は変わりません。
退職後10日から2週間ほどで届くのが一般的です。届かない場合の対処は離職票が届かないで解説しています。
離職票は郵送で届きます。会社が把握している住所が古いままだと、届きません。
退職代行を依頼する際に、離職票などの書類の送付先を伝えてもらうよう依頼しておくと確実です。
事業主証明について
傷病手当金を在職中から受け取る場合、または退職前の期間について申請する場合、会社に証明を書いてもらう必要があります。
事業主には、この証明に応じる義務があります。退職代行を使ったことを理由に拒むことはできません。
それでも応じてもらえない場合は、加入先の保険者に相談してください。事情を説明することで、別の方法で処理される場合があります。
退職日以降の期間について
退職後の継続給付については、退職日以降の期間分は事業主証明が不要になる場合があります。取り扱いは保険者によって異なるため、加入先にご確認ください。
申請書の構成については傷病手当金の申請書の書き方をご覧ください。
離職理由の記載に注意
ここが、金額に影響する部分です。
離職票には会社が離職理由を記入します。退職代行を通じて退職した場合、「一身上の都合」として自己都合で処理されることが一般的です。
| 自己都合 | 会社都合・特定理由離職者 | |
|---|---|---|
| 給付制限 | 原則1か月 | なし |
| 給付日数 | 90日〜150日 | 最長330日(会社都合の場合) |
| 国民健康保険料 | 通常どおり | 軽減される場合あり |
長時間労働、賃金の未払い、ハラスメントなどが理由で退職に至った場合、会社都合(特定受給資格者)と認められる可能性があります。
体調不良が理由であれば、特定理由離職者に該当する場合があります。
離職票には、離職理由について本人が異議を申し出るための欄があります。判定するのは会社ではなくハローワークです。
資料は在職中に手元へ
異議を申し出るには、事情を裏づける資料が必要です。
| 資料 | 何の証明になるか |
|---|---|
| タイムカード・勤怠記録 | 長時間労働 |
| 給与明細 | 賃金の未払い・減額 |
| 業務メール・チャット | ハラスメント、深夜・休日の業務指示 |
| 通院の記録・診断書 | 体調不良の経緯 |
退職代行を使う場合、退職の意思を伝えた時点で社内システムへのアクセスが止まることがあります。必要な資料は、依頼する前に手元へ保存しておいてください。
詳しくは会社都合と自己都合で何が変わる?をご覧ください。
契約前に確認すること
退職代行を依頼する前に、次の点を確認しておくと後の手続きがスムーズになります。
業者の種類によって対応範囲が違います
| 種類 | できること |
|---|---|
| 民間の代行業者 | 退職の意思を伝えること(本人の使者としての伝達) |
| 労働組合 | 上記に加えて、労働条件についての交渉 |
| 弁護士 | 上記に加えて、未払い賃金の請求や法的な交渉 |
民間の業者は、会社と交渉することができません。有給休暇の消化や退職日の調整を求めたい場合、対応できる範囲を確認しておく必要があります。
退職後も傷病手当金を受け取るには、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上必要です。転職から1年未満の場合、この要件を満たせません。
また、退職日の時点でも労務不能の状態であることが要件になります。
退職日を急ぐあまり要件を満たせなくなることがあるため、依頼する前に確認しておく価値があります。詳しくは傷病手当金は退職後も受け取れる?をご覧ください。
月収と退職予定日を入れるだけで、受け取れる見込み額と、
いつまでに何をすればよいかのスケジュールが表示されます。
※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります
よくある質問
離職票に「退職代行を利用した」と記載される欄はありません。ハローワークの手続きに影響することもありません。
離職票などの書類は郵送されるのが一般的です。傷病手当金の事業主証明については、書類のやり取りが必要になりますが、代行業者を通じて依頼できる場合があります。契約前にご確認ください。
使えます。ただし退職日の時点で労務不能の状態が続いていることが、継続給付の要件です。退職日の設定にご注意ください。
会社には離職証明書を提出する義務があります。対応されない場合は、ハローワークに相談してください。会社の所在地を管轄するハローワークから連絡してもらえる場合があります。
給付金の使い道に制限はありません。ただし受け取れるまでに時間がかかるため、当面の資金は別に用意しておく必要があります。失業手当は退職から1か月半から2か月半ほど、傷病手当金は1か月半から2か月ほどが目安です。
まとめ
- 退職代行を使っても、失業手当も傷病手当金も受け取れます
- ただし離職票の受け取りと事業主証明は、会社を通す必要があります
- 依頼する際は、離職票が必要である旨を明確に伝えてもらってください
- 離職理由は自己都合として処理されることが一般的です。事情があればハローワークに申し出られます
- 資料は依頼する前に手元へ保存しておいてください
退職代行は、会社と話すこと自体が難しい状況にある方にとって有効な選択肢です。そのうえで、給付金の手続きは別に進める必要があります。
退職日の設定や、受け取れる金額について確認したい場合は、一度ご相談ください。確認だけでも承ります。
- ハローワークインターネットサービス|雇用保険の手続き、離職票の交付
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|傷病手当金、事業主証明
- 厚生労働省|労働基準関係、雇用保険制度
離職票が届かない|いつ届くのか、届かないときの対処法
会社都合と自己都合で何が変わる?失業手当が2倍になることもあります
退職前にやっておくこと|給付金で損しないためのチェックリスト
本記事は制度の一般的な説明です。実際の支給の可否・金額・期間は、加入先の健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。当社が受給を保証するものではありません。
当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。退職代行サービスの提供や、特定の事業者の紹介は行っておりません。
本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。
※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。