扶養に入ると給付金はどうなる?日額3,612円の壁と判定の仕組み

傷病手当金と失業手当は非課税ですが、健康保険の扶養の判定では収入として扱われます。
日額3,612円を超えると、扶養に入れないのが一般的です。月収20万円の方の傷病手当金は日額約4,444円ですので、この基準を超えます。
- 健康保険の扶養と、税の扶養の違い
- 日額3,612円という基準の意味
- 受給が終わってから扶養に入る手続き
退職後、配偶者やご家族の扶養に入ることを検討される方は多いと思います。保険料の負担がなくなるためです。
ただし給付金を受け取っている間は、扶養に入れないことが一般的です。非課税なのに収入として扱われる、という点が分かりにくいところです。
2つの「扶養」があります
混乱しやすいのですが、「扶養」には性質の異なる2つがあります。
| 健康保険の扶養 | 税の扶養 | |
|---|---|---|
| 何が得か | 保険料の負担がなくなる | 扶養する側の税金が安くなる |
| 給付金の扱い | 収入として扱われます | 収入に含まれません |
| 収入の見方 | これから先1年間の見込み | その年の1〜12月の実績 |
| 判定する人 | 健康保険の保険者 | 税務署 |
同じ「扶養」でも、判定の基準がまったく違います。給付金を受け取っている方は、この違いが結果に直結します。
健康保険の扶養|日額3,612円の壁
健康保険の扶養に入るには、年間収入が130万円未満であることが要件です(60歳以上または障害のある方は180万円未満)。
なぜ日額で見るのか
健康保険の扶養では、「これから先1年間の収入見込み」で判断します。過去の実績ではありません。
そのため、給付金のように日単位で支給されるものは、日額に換算して判定されます。
この額以上を受け取っていると、扶養に入れないのが一般的です。
実際にどうなるか
| 月収 | 傷病手当金の日額 | 失業手当の日額 | 扶養 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 4,444円 | 4,993円 | 入れません |
| 30万円 | 6,667円 | 6,208円 | 入れません |
| 40万円 | 8,889円 | 6,667円 | 入れません |
※ 基準は日額3,612円。給付金の日額は令和7年8月1日時点の計算による目安です。
月収20万円ほどの方でも基準を超えるため、給付金を受け取っている間は扶養に入れないと考えておくのが現実的です。
3,612円という数字は、多くの保険者で使われている目安です。ただし健康保険組合によっては、独自の基準を設けている場合があります。
ご家族の勤務先を通じて、加入している健康保険組合の基準をご確認ください。
税の扶養|給付金は含まれません
一方、所得税や住民税の計算における扶養(配偶者控除・扶養控除)では、給付金は所得に含まれません。
| 収入の種類 | 税の扶養の判定 |
|---|---|
| 傷病手当金 | 含まれません(非課税のため) |
| 失業手当 | 含まれません(非課税のため) |
| 給与 | 含まれます |
| 退職金 | 含まれます(退職所得として) |
そのため、給付金だけで過ごした年は、税の扶養に入れる可能性があります。
この2つは別々に判定されるため、片方だけ該当するということが起こります。
健康保険は自分で加入し、税の扶養には入る、という形になることがあります。それぞれ別の手続きなので、両方確認してください。
受給が終わってから扶養に入る
給付金の受給が終われば、収入の見込みがなくなるため、扶養に入れるようになります。
受給期間の延長中は入れる場合があります
療養などで受給期間を延長している間は、実際に給付を受け取っていません。この期間は収入がないため、扶養に入れる可能性があります。
ただし判定は保険者が行いますので、ご家族の勤務先を通じて確認してください。
扶養に入れない期間の選択肢
給付金を受け取っている間は、自分で健康保険に加入することになります。
| 選択肢 | 保険料 | 期限 |
|---|---|---|
| 任意継続 | 在職中の約2倍(上限あり) | 退職日の翌日から20日以内 |
| 国民健康保険 | 前年の所得で決まる | 退職日の翌日から14日以内 |
会社都合や特定理由離職者に該当する場合、国民健康保険料が軽減される場合があります。申請が必要です。
詳しくは退職後の健康保険はどうする?をご覧ください。
よくある質問
あとから発覚した場合、扶養に入っていた期間の資格がさかのぼって取り消されることがあります。その期間の医療費を返還するよう求められる場合もありますので、受給が決まった時点でご家族の勤務先へ届け出てください。
実際に給付を受け取っていない期間は、収入がないものとして扱われる場合があります。ただし判定は保険者によって異なりますので、ご家族の勤務先を通じて確認してください。
自己都合退職の給付制限中は、実際に支給を受けていません。この期間は扶養に入れる場合があります。支給が始まったら抜ける、という扱いになります。
入れる可能性があります。基本手当日額の下限は2,411円ですので、月収が低い方はこの範囲に収まることがあります。ご自身の日額を確認したうえで、ご家族の勤務先へご相談ください。
配偶者の扶養に入っていた方(第3号被保険者)は、扶養から外れると国民年金の第1号被保険者になり、保険料の納付が必要になります。収入が少ない場合は免除や納付猶予の対象になることがありますので、年金事務所にご相談ください。
まとめ
- 傷病手当金・失業手当は非課税ですが、健康保険の扶養では収入として扱われます
- 日額3,612円を超えると、扶養に入れないのが一般的です
- 税の扶養では、給付金は収入に含まれません。判定基準が異なります
- 受給が終われば、扶養に入れるようになります
- 受給中は、任意継続か国民健康保険を選ぶことになります
「非課税なのに収入として扱われる」という点が、もっとも分かりにくいところです。健康保険と税で、まったく別の判定が行われているとお考えください。
ご自身の日額や、扶養に入れるかどうかを確認したい場合は、一度ご相談ください。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|被扶養者の認定基準、傷病手当金
- 国税庁|配偶者控除、扶養控除
- ハローワークインターネットサービス|基本手当日額
本記事は制度の一般的な説明です。扶養の認定基準は健康保険の保険者により異なります。判定は保険者が行いますので、ご家族の勤務先を通じてご確認ください。
当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。
本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。
※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。