コラム

会社都合と自己都合で何が変わる?失業手当が2倍になることもあります

/最終更新:2026年8月5日
この記事の結論

会社都合と自己都合では、給付日数・給付制限・国民健康保険料の3つが変わります。

とくに給付日数の差が大きく、条件によっては受け取れる総額が2倍以上になります。そして「自己都合で辞めた」と思っていても、会社都合と認められる場合があります

この記事でわかること
  • 会社都合と自己都合で変わる3つのこと
  • 実際にいくら差がつくのか(年齢・加入期間別の一覧)
  • 自己都合と書かれていても会社都合になり得るケース

退職理由は、単なる書類上の記載ではありません。受け取れる金額と、受け取り始める時期を決める要素です。

にもかかわらず、離職票に何と書かれているかを確認しないまま手続きを進めてしまう方が少なくありません。この記事では、何がどう変わるのかを金額で示し、判定の基準を整理します。

変わるのは3つ

図解1|会社都合と自己都合の違い
自己都合 会社都合
給付日数 90日〜150日 90日〜330日
給付制限 待期7日+原則1か月 待期7日のみ
国民健康保険料 通常どおり 軽減される場合があります

会社都合で退職した方は、雇用保険上「特定受給資格者」として扱われます。倒産や解雇のほか、労働条件に問題があった場合も含まれます。

違い1|給付日数

もっとも金額に影響する部分です。

図解2|給付日数の比較(35歳・月収30万円)
加入期間 自己都合 会社都合 差額
1〜5年 90日/約56万円 150日/約93万円 +37万円
5〜10年 90日/約56万円 180日/約112万円 +56万円
10〜20年 120日/約74万円 240日/約149万円 +74万円
20年以上 150日/約93万円 270日/約168万円 +74万円

※ 基本手当日額6,208円で試算した目安です。

年齢が上がるほど、差はさらに大きくなります。

図解3|給付日数の比較(50歳・月収40万円)
加入期間 自己都合 会社都合 差額
1〜5年 90日/約60万円 180日/約120万円 +60万円
5〜10年 90日/約60万円 240日/約160万円 +100万円
10〜20年 120日/約80万円 270日/約180万円 +100万円
20年以上 150日/約100万円 330日/約220万円 +120万円

※ 基本手当日額6,667円で試算した目安です。

50歳・加入20年以上の方では、120万円の差になります。日額は同じで、日数だけが変わった結果です。

ご自身の場合の金額は受給シミュレーターで確認できます。退職理由を切り替えて、差を見比べることもできます。

違い2|給付制限

受け取り始める時期も変わります。

図解4|受給が始まるまでの期間
会社都合
待期7日間のみ
ハローワークで手続きをして7日を過ぎれば、そこから支給の対象になります。

自己都合
待期7日間 + 給付制限(原則1か月)
令和7年4月1日以降に離職した方は、従来の2か月から1か月に短縮されています。

この1か月は、無収入で過ごす期間になります。会社都合であれば、この期間がありません。

なお、離職期間中に一定の教育訓練を受けた場合、給付制限が課されない仕組みもあります。詳しくはハローワークインターネットサービスでご確認ください。

違い3|国民健康保険料

意外と知られていませんが、会社都合で退職した方は、国民健康保険料が軽減される場合があります

退職後に国民健康保険へ加入すると、保険料は前年の所得をもとに計算されます。働いていた年の所得で計算されるため、収入がない状態で高い保険料を請求されることになります。

この負担を和らげるため、特定受給資格者などに該当する方は、前年の給与所得を実際の30%とみなして計算する軽減措置が設けられています。

この軽減は、自動では適用されません

お住まいの市区町村の窓口で、雇用保険受給資格者証を提示して申請する必要があります

金額は自治体や前年の所得によって異なりますが、年間で十数万円の差になることもあります。該当する方は、国民健康保険の加入手続きと同時に申請してください。

自己都合でも会社都合になり得るケース

ここが、この記事でもっとも重要な部分です。

「自分から辞めると言ったから自己都合」とは限りません。辞めざるを得ない事情が会社側にあった場合、特定受給資格者と認められることがあります。

図解5|会社都合と認められる可能性がある事情
1
長時間の残業が続いた
退職前6か月のうち、月45時間を超える残業が3か月以上続いた場合や、1か月に100時間を超える残業があった場合など。

2
賃金の未払いや大幅な減額があった
賃金が支払われなかった月がある場合や、本来の額の85%未満に下がった場合など。

3
ハラスメントを受けた
上司や同僚からの著しい言動があり、それが理由で退職した場合。

4
一方的な配置転換や職種変更を命じられた
採用時の条件と著しく異なる仕事に変えられた場合など。

5
退職を勧奨された
会社から退職を促され、それに応じた場合。

※ 判定はハローワークが行います。上記に当てはまれば必ず認められるものではありません。

体調不良で退職した場合

病気やケガが理由で退職した方は、「特定理由離職者」に該当する場合があります。会社都合とは異なりますが、給付制限がなくなるなど、自己都合より有利な取り扱いになります。

決め手になるのは「記録」です

在職中に残しておくと、判定が変わることがあります

該当するかどうかは、客観的な記録があるかどうかで決まります。

タイムカード、給与明細、勤怠記録、業務上のメールやチャット、通院の記録。こうしたものが判断材料になります。退職後に会社から取り寄せるのは難しくなるため、在職中に手元に残しておくことが結果を左右します。

離職票に自己都合と書かれていたら

離職票が届いたら、まず離職理由の欄を確認してください。

会社が記載した内容に事実と異なる点がある場合、ハローワークに申し出ることができます。離職票には、離職理由について本人が異議を申し出るための欄が設けられています。

図解6|離職理由に納得できない場合の流れ
STEP 1
離職票の離職理由欄を確認する
会社が記載した理由と、それに対する本人の記入欄があります。

STEP 2
異議がある旨を記載する
会社の記載内容に同意しない場合、その旨と実際の事情を書きます。

STEP 3
資料とあわせてハローワークへ提出する
タイムカードの写し、給与明細、メールの記録など、事情を裏づける資料を添えます。

STEP 4
ハローワークが判定する
会社と本人の双方から事情を確認したうえで、離職理由が決まります。

判定するのは会社ではなくハローワークです。会社の記載がそのまま確定するわけではありません。

退職理由で、いくら変わるか確認できます

月収・年齢・雇用保険の加入期間を入れるだけ。
会社都合と自己都合の両方で試算して、差を見比べられます。

受給額をかんたん試算する

※ 試算です。実際の判定はハローワークが行います

よくある質問

会社都合にすると、会社に迷惑がかかりませんか

会社都合の離職者が出ると、一部の助成金を一定期間受けられなくなる場合があります。そのため会社が自己都合での処理を望むことはありますが、事実と異なる記載に同意する義務はありません。判定はハローワークが行います。

すでに手続きを始めていますが、あとから変更できますか

受給の途中でも、離職理由について申し出ることは可能な場合があります。ただし時期によって取り扱いが異なるため、早めにハローワークへご相談ください。

残業の記録がありません

タイムカード以外にも、PCのログイン記録、業務用チャットの送信時刻、交通系ICカードの利用履歴などが参考資料になる場合があります。何が使えるかはケースにより異なりますので、まずは手元にあるものを整理してみてください。

体調不良での退職は、会社都合になりますか

会社都合(特定受給資格者)とは異なりますが、「特定理由離職者」に該当する場合があります。給付制限がなくなるなど、自己都合より有利な取り扱いになります。医師の診断書などが判断材料になります。

傷病手当金を受け取る場合も、退職理由は関係しますか

傷病手当金は退職理由を問いません。ただし、その後に受け取る失業手当には影響しますので、両方を受け取る予定であれば確認しておく価値があります。詳しくは傷病手当金と失業手当は「どっちが先」?をご覧ください。

まとめ

この記事の要点
  • 会社都合と自己都合では、給付日数・給付制限・国民健康保険料の3つが変わります
  • 給付日数の差により、受け取れる総額が2倍以上になることがあります
  • 自己都合で辞めたつもりでも、長時間労働・賃金未払い・ハラスメントなどがあれば会社都合と認められる場合があります
  • 判定するのは会社ではなくハローワークです。離職票の記載に異議を申し出ることができます
  • 決め手になるのは客観的な記録です。在職中に手元に残しておくことが結果を左右します

退職理由は、あとから変えるのが難しい部分です。しかし、事実として何があったかを示せれば、判定は変わり得ます

ご自身の状況が該当するか分からない場合や、離職票の記載に納得できない場合は、一度ご相談ください。確認だけでも承ります。

参考にした公的機関の情報

本記事は制度の一般的な説明です。離職理由の判定および支給の可否・金額・期間は、ハローワークの審査により決定されます。当社が受給を保証するものではありません。

当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。事実と異なる申告をおすすめするものではありません。

本記事に記載の金額・給付日数などの数値は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。

※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。

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