傷病手当金の申請書の書き方|4枚の記入者と提出の流れ

傷病手当金の申請書は4枚あり、本人・事業主・医師がそれぞれ記入します。
1枚でも欠けると受理されません。とくに医師の証明は診察を受けた期間についてしか書けないため、依頼のタイミングが重要になります。
- 4枚の申請書を、誰がどこに書くのか
- いつ、誰に依頼すればよいか
- 初回の申請でつまずきやすい3つのこと
傷病手当金の申請は、書類さえ揃えば難しいものではありません。ただ複数の人が関わるため、段取りを知らないと時間がかかります。
この記事では、申請書の構成と、スムーズに進めるための順番を整理します。
申請書は4枚あります
健康保険傷病手当金支給申請書は、4枚1組になっています。
| 枚数 | 記入する人 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1枚目 | 本人 | 氏名、被保険者証の記号・番号、生年月日、住所 |
| 2枚目 | 本人 | 振込先口座、申請する期間、傷病名、発病日、療養の状況 |
| 3枚目 | 事業主 | 勤務状況、給与の支払い状況 |
| 4枚目 | 医師 | 傷病名、初診日、労務不能と認めた期間、診療の内容 |
用紙は加入先の保険者のサイトからダウンロードできます。協会けんぽ・健康保険組合で様式が異なります。
4枚すべてが揃わないと受理されません。本人だけで完結する書類ではない、という点が最初のポイントです。
誰が、どこに書くか
本人が記入する部分(1・2枚目)
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 被保険者証の記号・番号 | 健康保険証に記載されています。退職後は手元に残しておくか、控えておいてください |
| 振込先口座 | 本人名義の口座に限られます。ネット銀行が使えない保険者もあります |
| 申請する期間 | 医師が労務不能と認めた期間の範囲内で記入します |
| 発病または負傷の年月日 | 初めて症状が出た日。正確でなくても構いませんが、医師の記載と大きく食い違わないように |
| 療養のため休んだ期間 | 実際に休んだ日を記入します |
| 報酬の有無 | 休んだ期間に給与が支払われたかどうか |
事業主が記入する部分(3枚目)
勤務の状況と、給与の支払い状況を証明する欄です。会社の人事・総務に依頼します。
ここには出勤簿と賃金台帳の内容が記入されます。本人が記入した「休んだ期間」と食い違うと、確認に時間がかかります。
医師が記入する部分(4枚目)
ここが最も重要な点です。
医師が記入するのは、実際に診察したうえで労務不能と判断した期間です。診察していない期間について、さかのぼって証明することはできません。
そのため継続して通院する必要があります。通院が途切れると、その期間は申請できなくなります。
証明には文書料がかかります。金額は医療機関によって異なりますが、1回あたり数百円から数千円程度が一般的です。
依頼する順番
4枚を効率よく揃えるには、順番があります。
入金までの目安
| 段階 | 目安 |
|---|---|
| 書類を揃える | 2週間〜1か月 |
| 保険者での審査 | 2週間〜1か月 |
| 休み始めてから初回の入金まで | 1か月半〜2か月ほど |
| 2回目以降 | 申請から2週間〜1か月 |
初回は時間がかかります。その間の生活費を見込んでおく必要があります。
初回でつまずきやすい3つのこと
1|期間の途中で医師に依頼してしまう
医師が証明できるのは、すでに経過した期間です。「3月1日から3月31日まで」で申請するなら、依頼できるのは4月に入ってからです。
月末の通院時に、その月の分を依頼するのが効率的です。
2|通院が途切れる
体調が落ち着くと通院の間隔が空きがちですが、診察していない期間は証明できません。
申請を続けるには、医師の指示に従って通院を継続する必要があります。
3|待期3日間を満たしていない
傷病手当金は、連続する3日間の待期を満たしたあと、4日目から支給されます。
1日休んで出勤し、また休む、という形では待期が成立しません。有給休暇・土日・祝日は待期に含められます。
詳しくは有給消化と傷病手当金は両立できる?をご覧ください。
退職後の申請の違い
退職後も傷病手当金を受け取る場合(継続給付)、申請の手順が少し変わります。
| 在職中 | 退職後 | |
|---|---|---|
| 提出先 | 在職中に加入していた保険者(変わりません) | |
| 事業主証明 | 必要 | 退職日以降の期間は不要な場合があります |
| 医師の証明 | 必要(変わりません) | |
| 提出方法 | 会社経由の場合あり | 本人が直接郵送 |
「退職したから、新しく入った国民健康保険に申請するのでは」と誤解されることがありますが、そうではありません。
継続給付は、在職中に加入していた保険者から支給されます。退職後にどの健康保険に入るかとは関係ありません。
要件については傷病手当金は退職後も受け取れる?をご覧ください。
月収と退職予定日を入れるだけで、受け取れる見込み額と、
いつ・何をすればよいかのスケジュールが表示されます。
※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります
よくある質問
複数月をまとめて申請することもできます。ただし入金もその分だけ後になるため、生活費を考えると1か月ごとの申請が一般的です。
事業主には証明に応じる義務があります。応じてもらえない場合は、その旨を保険者に相談してください。事情を説明することで、別の方法で処理される場合があります。
あります。傷病手当金の時効は、労務不能であった日ごとにその翌日から2年です。過ぎた分はさかのぼって請求できなくなりますので、ためすぎないようご注意ください。
ご自身の症状と、仕事の状況を正直にお伝えください。労務不能かどうかを判断するのは医師です。診断書の内容を指定したり、特定の記載を求めたりするものではありません。
加入先の保険者のサイトからダウンロードできます。協会けんぽの場合は全国健康保険協会のサイトにあります。健康保険組合の場合は、その組合のサイトをご確認ください。
まとめ
- 申請書は4枚で、本人・事業主・医師がそれぞれ記入します
- 医師は診察した期間についてしか証明できません。通院の継続が必要です
- 医師への依頼は、申請する期間の最終日を過ぎてからです
- 休み始めてから初回の入金までは、1か月半から2か月ほどかかります
- 退職後も、提出先は在職中に加入していた保険者です
手続き自体は難しくありませんが、複数の人が関わるため段取りが要ります。とくに医師への依頼のタイミングを間違えると、1か月分の申請が遅れることになります。
ご自身の状況で何から始めればよいか分からない場合は、一度ご相談ください。確認だけでも承ります。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|傷病手当金支給申請書、記入の手引き
- 厚生労働省|健康保険制度の概要
本記事は制度の一般的な説明です。申請書の様式や必要書類は、加入先の保険者により異なります。実際の支給の可否・金額・期間は、保険者の審査により決定されます。
当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。症状のない方に受診をおすすめするものではなく、事実と異なる申告をおすすめするものでもありません。
本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。
※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。