コラム

傷病手当金の初回申請でつまずく3つのこと|入金が遅れる理由

/最終更新:2026年8月5日
この記事の結論

傷病手当金の初回申請は、休み始めてから入金まで1か月半から2か月かかります。

理由は、待期3日間・医師の証明・事業主証明・保険者の審査という4つの段階を経るためです。この間の資金を見込んでおく必要があります。

この記事でわかること
  • 入金までに時間がかかる理由
  • 初回でつまずきやすい3つのこと
  • その間の生活をどう見込むか

傷病手当金の手続きは、書類さえ揃えば難しくありません。ただ初回だけは、想定より時間がかかります。

「申請したのに振り込まれない」と不安になる方が多いのですが、多くの場合それは正常な待ち時間です。この記事で、その内訳を整理します。

入金までの内訳

図解1|休み始めてから入金まで
1〜3日目
待期期間
連続する3日間を休みます。この3日間は支給の対象になりません。

4日目〜月末
支給の対象になる期間
この期間について申請します。多くの場合、1か月単位で区切ります。

翌月の通院時
医師に証明を依頼する
申請する期間が終わってからでないと、証明できません。この待ち時間が発生します。

1〜2週間
事業主証明を依頼する
会社の人事・総務に依頼します。対応にかかる時間は会社によって異なります。

2週間〜1か月
保険者による審査
提出後、内容が確認されます。初回は特に時間がかかることがあります。

休み始めてから1か月半〜2か月
初回の入金
2回目以降は、申請から2週間〜1か月ほどになります。

この流れは制度上避けられません。手続きを急いでも、医師が証明できるのは期間が終わってからです。

申請書の構成は傷病手当金の申請書の書き方で解説しています。

つまずき1|待期の数え方

待期は「連続する3日間」です。連続していないと成立しません。

図解2|待期が成立する場合・しない場合
休み方 待期
月・火・水と3日連続で休んだ 成立します
金・土・日(土日は公休日) 成立します
3日とも有給休暇を使った 成立します
月に休み、火に出勤、水・木に休んだ 成立しません(連続していないため)

待期には、有給休暇・土日・祝日も含められます。給与が支払われていても構いません。

「少しだけ出勤する」と待期がやり直しになります

体調が少し良い日に短時間だけ出勤する、という働き方をすると、連続が途切れて待期が成立しません。

また、待期が成立する前に労務した場合、その時点から数え直しになります。

医師と相談したうえで、休む期間を決めてください。

つまずき2|医師への依頼のタイミング

ここが、初回でもっとも時間を左右する部分です。

医師が証明できるのは、実際に診察したうえで労務不能と判断した期間です。診察していない期間や、まだ経過していない期間について証明することはできません。

図解3|依頼できるタイミング
申請する期間 医師に依頼できるのは
3月1日〜3月31日 4月1日以降
3月1日〜3月20日 3月21日以降

期間の途中では依頼できません。月末の通院時に、その月の分を依頼するのが効率的です。

通院が途切れると申請できません

診察していない期間について、医師は証明できません。通院が途切れると、その期間は申請の対象外になります。

体調が落ち着くと通院の間隔が空きがちですが、申請を続けるには医師の指示に従って通院を継続する必要があります。

文書料がかかります

証明には文書料がかかります。金額は医療機関によって異なりますが、1回あたり数百円から数千円程度が一般的です。毎月申請する場合、そのつど発生します。

つまずき3|事業主証明の待ち時間

申請書の3枚目は、会社が記入します。出勤簿と賃金台帳をもとに、勤務状況と給与の支払い状況を証明する欄です。

よくある事情 対応
担当者が不在 提出先と期限を確認し、余裕をもって依頼してください
給与計算の締めを待つ必要がある 給与の支払い状況を記入するため、締め日以降になることがあります
本人記入欄との食い違い 休んだ期間の記載が合わないと、確認に時間がかかります
会社には証明に応じる義務があります

事業主には、傷病手当金の申請に必要な証明を行う義務があります。応じてもらえない場合は、加入先の保険者に相談してください。

事情を説明することで、別の方法で処理される場合があります。

退職後の期間について

退職後の継続給付では、退職日以降の期間分は事業主証明が不要になる場合があります。取り扱いは保険者によって異なるため、加入先にご確認ください。

その間の資金をどうするか

初回の入金まで1か月半から2か月かかるため、その間の生活費を見込んでおく必要があります。

図解4|この期間に出ていくもの
支出 備考
健康保険料・年金保険料 在職中は給与から天引き。退職後は自分で納付します
住民税 前年の所得にかかるため、収入がなくても請求されます
医療費 通院と文書料
生活費 家賃、光熱費など

負担を軽くできる制度があります

制度 窓口
国民健康保険料の軽減 市区町村(会社都合・特定理由離職者の場合)
国民年金保険料の免除・猶予 市区町村・年金事務所(失業を理由とする特例あり)
住民税の徴収猶予・減免 市区町村
自立支援医療 市区町村(精神疾患での通院の場合)

いずれも申請が必要です。詳しくは退職後の年金はどうなる?および退職後の健康保険はどうする?をご覧ください。

いつ・いくら入金されるか確認できます

月収と退職予定日を入れるだけ。
受給スケジュールと毎月の入金目安が表示されます。

受給額をかんたん試算する

※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります

よくある質問

申請したのに1か月経っても振り込まれません

初回は審査に時間がかかることがあります。1か月を過ぎても連絡がない場合は、加入先の保険者にお問い合わせください。書類の不備で止まっている可能性もあります。

初回に、休み始めてからの分をまとめて申請できますか

できます。ただし医師の証明はその期間全体について必要で、入金もその分だけ後になります。生活費を考えると、1か月ごとの申請が一般的です。

待期の3日間は有給を使ったほうがよいですか

待期の3日間はどのみち支給されません。有給を充てれば給与を受け取りながら待期を満たせます。ただし有給の残日数や、その後の使い方とあわせて判断してください。詳しくは有給消化と傷病手当金は両立できる?をご覧ください。

申請書はどこで入手できますか

加入先の保険者のサイトからダウンロードできます。協会けんぽか、勤務先の健康保険組合かで様式が異なります。会社の人事・総務が用意してくれる場合もあります。

振込先はどんな口座でもよいですか

本人名義の口座に限られます。保険者によっては、ネット銀行が利用できない場合があります。申請書の記載や保険者の案内をご確認ください。

まとめ

この記事の要点
  • 初回の入金までは1か月半から2か月かかります
  • 待期は連続する3日間。途切れると成立しません
  • 医師への依頼は、申請する期間が終わってからです
  • 事業主証明には1〜2週間かかることがあります
  • この間も保険料と住民税は発生します。減免の制度を確認してください

時間がかかること自体は制度上避けられません。あらかじめ知っておけば、不安は小さくなります。

ご自身の状況で何から始めればよいか分からない場合は、一度ご相談ください。確認だけでも承ります。

参考にした公的機関の情報

本記事は制度の一般的な説明です。審査期間や必要書類は、加入先の保険者により異なります。実際の支給の可否・金額・期間は、保険者の審査により決定されます。

当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。症状のない方に受診をおすすめするものではありません。

本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。

※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。

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