コラム

退職前にやっておくこと|給付金で損しないためのチェックリスト

/最終更新:2026年8月5日
この記事の結論

退職後に受け取れる給付金の額は、在職中にどこまで準備したかで変わります

とくに健康保険の加入期間受診の記録は、退職日を過ぎると取り返しがつきません。この記事では、退職前に確認しておきたい8つの項目を整理します。

この記事でわかること
  • 退職日を過ぎると取り返せない準備は何か
  • いつまでに、何を確認すればよいか
  • 手元に残しておくべき記録

退職を決めたとき、多くの方は「引き継ぎ」と「次の仕事」に意識が向きます。給付金のことを考えるのは、たいてい辞めたあとです。

ただ、退職後にできることは限られています。在職中でなければ満たせない要件があり、あとから証明できない事実があります。

この記事は、退職日までに確認しておくことを8つにまとめたものです。すべてに当てはまる必要はありませんが、該当する項目があれば早めに動いておく価値があります。

なぜ「退職前」なのか

退職後の給付には、退職日の時点で満たしていなければならない要件があります。

図解1|退職日を境に変わること
項目 退職後にできるか
健康保険の加入期間を1年にする できません(退職日で確定します)
傷病手当金の受給を開始する できません(在職中の開始が必要です)
残業記録を会社から取り寄せる 難しくなります
離職理由に異議を申し出る できます
受給期間の延長を申請する できます(退職後30日経過後)

上の2つは、退職日を過ぎると取り返しがつきません。

逆にいえば、この2つさえ押さえておけば、あとは退職後でも間に合います

チェックリスト8項目

図解2|退職前に確認したい8項目
1
健康保険の加入期間が1年以上あるか最重要
退職後も傷病手当金を受け取り続けるには、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間が必要です。転職から1年未満の方は対象外になります。

2
体調に不安があるなら、受診しているか最重要
労務不能かどうかを判断するのは医師です。受診していなければ、退職日時点で働けなかったことを証明する方法がありません。

3
雇用保険の加入期間を確認したか
失業手当の給付日数は、加入期間で変わります。1年未満だと自己都合では受給できません。雇用保険被保険者証や給与明細で確認できます。

4
残業や休日出勤の記録を残したか
月45時間を超える残業が続いていた場合など、会社都合と認められる可能性があります。タイムカードや勤怠記録の写しを手元に残しておいてください。

5
給与明細を6か月分そろえたか
失業手当の金額は、退職前6か月の賃金で決まります。賃金の未払いや減額があった場合の証拠にもなります。

6
ハラスメント等の記録を保存したか
メールやチャットの記録、日時と内容のメモなど。退職後は社内システムにアクセスできなくなります。

7
有給休暇の残日数を確認したか
退職時に消化できます。有給を消化しながら退職日を迎える場合、その期間の取り扱いを確認しておくと安心です。

8
退職後の健康保険をどうするか決めたか
任意継続、国民健康保険、ご家族の扶養に入る、の3つがあります。会社都合の場合、国民健康保険料が軽減される場合があります。

最重要 の2つは、退職日を過ぎると満たせなくなります。

項目1|健康保険の加入期間

ここが最初の関門です。退職日までに継続して1年以上の被保険者期間がないと、退職後の傷病手当金(継続給付)を受けられません。

「継続して」という点が重要で、転職などで健康保険を抜けた期間があるとリセットされます。保険証の交付日や給与明細の健康保険料の欄で確認できます。

詳しくは傷病手当金は退職後も受け取れる?で解説しています。

項目2|受診の記録

受診は「してから」でないと証明できません

傷病手当金の申請書には、医師が労務不能であることを証明する欄があります。診察していない期間について、医師は証明できません

体調の変化に心当たりがある場合は、まず医療機関を受診してください。受診した結果、労務不能と判断されるかどうかは医師が決めることです。

なお、症状がないのに受診を促すものではありません。事実として不調がある場合に、記録として残しておく必要があるという趣旨です。

項目4〜6|記録の保存

会社都合(特定受給資格者)と認められるかどうかは、客観的な記録があるかどうかで決まります。

退職後に会社へ資料を請求するのは、現実的に難しくなります。在職中のうちに、次のものを手元に残しておいてください。

記録 何の証明になるか
タイムカード・勤怠記録 長時間労働(月45時間超が3か月以上、1か月100時間超など)
給与明細(6か月分) 失業手当の金額計算、賃金の未払いや減額
業務メール・チャット ハラスメント、深夜や休日の業務指示
雇用契約書・辞令 一方的な配置転換や職種変更
通院の記録・お薬手帳 体調不良の経緯

詳しくは会社都合と自己都合で何が変わる?をご覧ください。

時期別|いつ何をするか

図解3|退職までの流れ
退職を考え始めた段階
加入期間を確認する
健康保険と雇用保険、それぞれの加入期間。1年に足りない場合、退職時期を調整する選択肢もあります。

体調に不安があるとき
医療機関を受診する
早いほど選択肢が広がります。受診しないまま退職すると、あとから証明できません。

退職の意思を伝える前
記録を手元に残す
タイムカード、給与明細、メールなど。退職を伝えたあとは、社内システムへのアクセスが制限される場合があります。

退職日が決まったら
有給休暇と保険の切り替えを整理する
有給の残日数、退職後の健康保険をどうするか。年金の切り替えも必要になります。

退職日
労務不能の状態が続いているか
傷病手当金の継続給付を受けるには、この日の時点でも労務不能である必要があります。

退職後
離職票を確認する
10日ほどで届きます。離職理由の記載に事実と異なる点があれば、ハローワークに申し出ることができます。

手元に残しておきたい書類

退職時に会社から受け取る書類と、自分で用意しておくものを整理します。

会社から受け取るもの

書類 用途
離職票(1・2) 失業手当の手続き。退職後10日ほどで届きます
雇用保険被保険者証 加入期間の確認
源泉徴収票 確定申告、次の勤務先への提出
健康保険資格喪失証明書 国民健康保険への切り替え
年金手帳(会社預かりの場合) 国民年金への切り替え
離職票が届かないとき

退職から10日を過ぎても届かない場合は、会社へご確認ください。会社には、離職票の交付に必要な手続きを行う義務があります。

連絡しても対応されない場合は、ハローワークに相談できます。

自分で用意しておくもの

書類 用途
給与明細(6か月分以上) 失業手当の金額確認、賃金トラブルの証拠
タイムカード・勤怠記録の写し 長時間労働の証明
業務メール・チャットの記録 ハラスメント、深夜・休日の業務指示の証明
通院の記録・お薬手帳 体調不良の経緯
雇用契約書・就業規則 労働条件の確認
退職日から逆算した準備を確認できます

月収と退職予定日を入れるだけで、受け取れる見込み額に加えて、
いつまでに何をすればよいかのスケジュールが表示されます。

受給額をかんたん試算する

※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります

よくある質問

もう退職してしまいました。手遅れですか

すべてが手遅れというわけではありません。

在職中に傷病手当金を受給していなかった場合、傷病手当金は対象外になります。ただし失業手当の受給期間延長や、離職理由への申し出はまだできる場合があります。詳しくは受給期間の延長をご覧ください。

健康保険の加入期間が1年に足りません

退職後の傷病手当金(継続給付)は受けられませんが、在職中であれば通常の傷病手当金は要件を満たせば受けられます。また、失業手当は雇用保険の加入期間で判断されるため、そちらは別に確認する必要があります。

会社に給付金のことを知られたくありません

傷病手当金の申請書には事業主が証明する欄があるため、在職中の申請では会社を通す必要があります。失業手当については、会社は関与しません。

退職日を調整したほうがよい場合はありますか

健康保険や雇用保険の加入期間が、あと少しで区切りに届く場合は、退職日を調整することで受け取れる額が変わることがあります。ご自身の加入期間を確認したうえで判断してください。

在職中に相談してもよいのでしょうか

むしろ在職中のほうが、選択肢が多い状態です。退職日が決まる前であれば、加入期間や受診のタイミングについてもご案内できます。ご相談いただいても、当社から勤務先に連絡することはありません。

まとめ

この記事の要点
  • 退職後に受け取れる給付金の額は、在職中の準備で変わります
  • とくに健康保険の加入期間1年以上受診の記録は、退職日を過ぎると取り返せません
  • 会社都合と認められるかどうかは、客観的な記録があるかで決まります
  • タイムカード・給与明細・業務メールは、在職中に手元へ残しておいてください
  • 離職票は退職後10日ほどで届きます。離職理由の記載を必ず確認してください

退職の準備というと、引き継ぎや次の仕事のことが中心になりがちです。ただ、お金のことは、辞めてからでは間に合わない部分があります

ご自身がどの項目に当てはまるか分からない場合や、退職日が決まっていてお急ぎの場合は、一度ご相談ください。確認だけでも承ります。

参考にした公的機関の情報

本記事は制度の一般的な説明です。実際の支給の可否・金額・期間は、加入先の健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。当社が受給を保証するものではありません。

当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。症状のない方に受診をおすすめするものではなく、事実と異なる申告をおすすめするものでもありません。

本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。

※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。

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