コラム

退職後の健康保険はどうする?3つの選択肢と保険料の比較

/最終更新:2026年8月5日
この記事の結論

退職後の健康保険は、任意継続・国民健康保険・家族の扶養の3つから選びます。

保険料はケースによって変わるため、一概にどれが安いとは言えません。ただし手続きには期限があり、会社都合の退職なら国民健康保険料が軽減される場合があります。

この記事でわかること
  • 3つの選択肢それぞれの保険料の目安
  • 手続きの期限(過ぎると選べなくなります)
  • 傷病手当金や失業手当を受け取る場合の注意点

退職すると、会社の健康保険からは自動的に外れます。日本は国民皆保険なので、何らかの健康保険には必ず加入する必要があります

ところが選択肢が3つあり、それぞれ保険料も手続きも違います。しかも期限を過ぎると選べなくなるものがあります。この記事では、判断に必要な材料を整理します。

3つの選択肢

図解1|退職後の健康保険
任意継続 国民健康保険 家族の扶養
保険料 在職中の約2倍
(上限あり)
前年の所得で決まる 0円
期限 退職日の翌日から20日以内 退職日の翌日から14日以内 すみやかに
加入できる期間 最長2年 制限なし 要件を満たす間
手続き先 加入していた保険者 市区町村の窓口 家族の勤務先

どれを選ぶかは、前年の所得扶養に入れる家族がいるかで大きく変わります。

任意継続|会社の保険を続ける

退職前に加入していた健康保険を、そのまま最長2年間続ける制度です。

保険料は在職中の約2倍になります

在職中は保険料を会社と折半していますが、退職後は全額を自分で負担します。そのため単純計算で約2倍になります。

ただし上限があります

任意継続の保険料には上限が設けられており、退職時の標準報酬月額が高い方でも、一定額を超えることはありません。

上限額は加入していた保険者によって異なります。給与が高かった方ほど、任意継続が有利になりやすいと言えます。

加入できる条件

被保険者期間 退職日までに継続して2か月以上あること
申請期限 退職日の翌日から20日以内(厳守)
20日を過ぎると加入できません

この期限は非常に厳格に運用されています。1日でも過ぎると、原則として任意継続には加入できません

退職後は書類の手配や体調のことで慌ただしくなりがちです。任意継続を考えている場合は、退職前から準備しておくことをおすすめします。

途中でやめられます

以前は原則2年間続ける必要がありましたが、令和4年1月から任意にやめられるようになりました。国民健康保険のほうが安くなったタイミングで切り替える、といった選択ができます。

国民健康保険|市区町村の保険に入る

お住まいの市区町村が運営する健康保険です。

保険料は前年の所得で決まります

ここが注意点です。退職して収入がなくなっても、保険料は前年の所得をもとに計算されます

働いていた年の所得で計算されるため、無収入の状態で高い保険料を請求されることになります。

会社都合なら軽減される場合があります

図解2|国民健康保険料の軽減措置
対象 内容
特定受給資格者
特定理由離職者
前年の給与所得を実際の30%とみなして保険料を計算します
自己都合退職 軽減の対象外です

前年の年収が400万円ほどの方であれば、年間で十数万円の差になることもあります。

この軽減は自動では適用されません

市区町村の窓口で、雇用保険受給資格者証を提示して申請する必要があります

国民健康保険の加入手続きと同時に申請してください。会社都合や体調不良による退職に該当する方は、必ず確認しておきたいところです。

会社都合か自己都合かの判定については、会社都合と自己都合で何が変わる?で解説しています。

家族の扶養|保険料がかからない

配偶者や親などが会社の健康保険に加入している場合、その扶養に入る選択肢があります。保険料の負担はありません

収入の要件があります

項目 目安
年間収入 130万円未満(60歳以上または障害のある方は180万円未満)
収入の考え方 これから先1年間の見込みで判断します

ポイントは「これから先の見込み」で見ることです。退職前の年収が高くても、退職後に収入がなければ扶養に入れる可能性があります

失業手当・傷病手当金は「収入」に含まれます

ここが見落とされやすい点です。

失業手当や傷病手当金は非課税ですが、扶養の判定では収入として扱われます。日額3,612円(130万円÷360日)を超えると、扶養に入れないのが一般的です。

月収20万円の方の傷病手当金は日額約4,444円ですので、この基準を超えます。給付を受け取っている間は扶養に入れないとお考えください。

判定基準は健康保険組合によって異なる場合があります。ご家族の勤務先を通じて確認してください。

給付金を受け取る場合の注意点

傷病手当金や失業手当を受け取る予定がある場合、選択肢が限られます。

図解3|給付金と健康保険の関係
受け取る給付 健康保険の選択肢
傷病手当金(継続給付) 任意継続 または 国民健康保険
扶養には入れないことが一般的です
失業手当 日額3,612円を超える場合は、任意継続 または 国民健康保険
受給期間の延長中 給付を受けていない期間は、扶養に入れる場合があります
傷病手当金は、任意継続でなくても受け取れます

「退職後も傷病手当金を受け取るには任意継続が必要」という誤解がありますが、そうではありません。

退職後の継続給付は、在職中に加入していた保険者から支給されます。退職後にどの健康保険に入るかとは関係ありません。国民健康保険に切り替えても、継続給付は受け取れます。

要件については傷病手当金は退職後も受け取れる?をご覧ください。

手続きの期限まとめ

図解4|退職後の手続きスケジュール
退職日の翌日から14日以内
国民健康保険・国民年金の手続き
市区町村の窓口へ。健康保険資格喪失証明書が必要です。会社都合の場合は、雇用保険受給資格者証も持参して軽減の申請をしてください。

退職日の翌日から20日以内
任意継続の申請
加入していた保険者へ。1日でも過ぎると加入できません。

すみやかに
扶養に入る手続き
ご家族の勤務先を通じて申請します。収入要件の確認が必要です。

迷っている間に期限が来てしまうことがあります。まず市区町村の窓口で国民健康保険料の見積もりを聞き、任意継続の保険料と比べるのが確実です。国民健康保険料は窓口で試算してもらえます。

受給の見込みと、手続きの順番を確認できます

月収と退職予定日を入れるだけで、受け取れる見込み額と、
いつまでに何をすればよいかのスケジュールが表示されます。

受給額をかんたん試算する

※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります

よくある質問

どれが一番安いですか

状況によって変わります。目安としては、次のような傾向があります。

扶養に入れる場合:保険料0円のため最も有利
前年の所得が高い場合:任意継続に上限があるため有利になりやすい
前年の所得が低い場合:国民健康保険が安くなることが多い
会社都合の場合:軽減措置により国民健康保険が有利になりやすい

市区町村の窓口で国民健康保険料を試算してもらい、任意継続の保険料と比べるのが確実です。

扶養する家族がいる場合はどうなりますか

任意継続では、扶養している家族の保険料は追加でかかりません。一方、国民健康保険は家族の人数分だけ保険料が増えます。扶養家族が多い方ほど、任意継続が有利になりやすいと言えます。

手続きが遅れるとどうなりますか

国民健康保険は、退職日の翌日にさかのぼって加入することになります。保険料もその分さかのぼって請求されるため、遅れても総額は変わりません。ただし手続き前に医療機関にかかると、いったん全額を自己負担することになります。

任意継続の途中で就職したらどうなりますか

就職先の健康保険に加入した時点で、任意継続の資格は失われます。保険者へ届け出てください。

年金の手続きも必要ですか

必要です。厚生年金から国民年金への切り替えを、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で行います。健康保険の手続きと同時にできます。収入が減った場合は、保険料の免除や納付猶予を申請できることがあります。

まとめ

この記事の要点
  • 退職後の健康保険は任意継続・国民健康保険・家族の扶養の3つです
  • 任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内に手続きが必要です
  • 会社都合や体調不良による退職なら、国民健康保険料が軽減される場合があります(申請が必要)
  • 傷病手当金や失業手当を受け取る場合、扶養には入れないことが一般的です
  • 退職後の傷病手当金は、任意継続でなくても受け取れます

健康保険は毎月の負担に直結します。とくに会社都合の軽減措置は、申請しないと適用されませんので、該当する方は忘れずに手続きしてください。

給付金と健康保険をあわせてどう進めるべきか分からない場合は、一度ご相談ください。確認だけでも承ります。

参考にした公的機関の情報

本記事は制度の一般的な説明です。保険料の額や軽減措置の適用は、お住まいの市区町村および加入先の保険者により決定されます。

当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。健康保険・年金の手続きそのものに関するお問い合わせは、各窓口へお願いいたします。

本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。

※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。

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