コラム

退職後の年金はどうなる?切り替えの手続きと免除・猶予の制度

/最終更新:2026年8月5日
この記事の結論

退職すると、厚生年金から国民年金へ切り替わります。手続きは退職日の翌日から14日以内です。

収入がなくなった場合、失業を理由とする保険料の免除・納付猶予を申請できます。前年の所得に関わらず対象になる特例があります。

この記事でわかること
  • 切り替えの手続きと必要なもの
  • 失業を理由とする免除の特例
  • 免除を受けた場合、将来の年金がどうなるか

退職後の手続きというと健康保険に目が向きがちですが、年金の切り替えも同時に必要です。

そして収入がない状態では、保険料の負担が重くのしかかります。免除の制度があることを知らずに未納にしてしまう方が少なくありません。

国民年金への切り替え

会社員は厚生年金の被保険者(第2号被保険者)ですが、退職すると国民年金の第1号被保険者になります。

図解1|手続きの概要
項目 内容
期限 退職日の翌日から14日以内
窓口 市区町村の国民年金担当課
必要なもの 年金手帳または基礎年金番号通知書、退職日がわかる書類、本人確認書類、マイナンバーがわかるもの
保険料 定額(令和7年度は月額17,510円)

国民健康保険の手続きと同じ窓口で、同時に行えます。

保険料は所得に関わらず定額です

国民健康保険料は前年の所得で決まりますが、国民年金保険料は全員同じ額です。

収入がなくても同額の請求が来るため、免除の申請を検討する価値があります。

失業を理由とする免除の特例

通常、保険料の免除は前年の所得をもとに判定されます。しかし退職した年は、前年に働いていたため所得があり、通常の基準では対象になりません。

失業した場合は、本人の所得を除いて審査されます

失業を理由とする特例では、本人の前年所得を「ないもの」として審査されます。

そのため、前年に高い収入があった方でも、免除の対象になる可能性があります。

ただし、配偶者や世帯主の所得は審査の対象になります。同居のご家族に一定以上の収入がある場合は、対象外となることがあります。

申請に必要なもの

書類 備考
雇用保険受給資格者証 ハローワークで手続きすると交付されます
雇用保険被保険者離職票 受給資格者証がない場合、こちらでも可
国民年金保険料免除・納付猶予申請書 市区町村の窓口または日本年金機構のサイトで入手できます
年金手帳等 基礎年金番号がわかるもの

いずれかの書類で、失業したことを証明する必要があります。離職票のコピーでも申請できる場合がありますので、窓口にご確認ください。

免除・猶予・未納の違い

ここは将来の年金額に関わる重要な部分です。

図解2|3つの違い
受給資格期間 年金額への反映 障害年金・遺族年金
免除 算入されます 一部反映されます 対象になります
納付猶予 算入されます 反映されません 対象になります
未納 算入されません 反映されません 対象外になる場合があります
未納と免除では、扱いがまったく違います

払えないからといって放置すると未納になります。未納期間は、受給資格期間にも年金額にも反映されません。

さらに問題なのは、障害年金や遺族年金の対象外になる場合があることです。病気やケガで障害が残ったときに、年金を受け取れなくなる可能性があります。

払えない場合こそ、申請してください。申請すれば免除または猶予として扱われ、いざというときの保障が守られます。

免除には段階があります

区分 納める額 年金額への反映
全額免除 0円 納付した場合の2分の1
4分の3免除 4分の1 納付した場合の8分の5
半額免除 半額 納付した場合の8分の6
4分の1免除 4分の3 納付した場合の8分の7

全額免除でも、納付した場合の半分は年金額に反映されます。未納とは大きな違いです。

あとから納めることもできます

免除や猶予を受けた期間の保険料は、あとから納めること(追納)ができます。

項目 内容
追納できる期間 承認された月の前10年以内
加算額 3年度目以降に追納する場合、当時の保険料に一定額が加算されます
効果 納付済み期間として扱われ、年金額に全額反映されます

再就職して収入が安定してから追納する、という選択ができます。早めに追納するほど加算額が少なくなります。

受け取れる金額と、必要な支出を確認できます

月収と退職予定日を入れるだけで、受け取れる見込み額と、
受給スケジュールが表示されます。

受給額をかんたん試算する

※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります

配偶者の扶養に入る場合

配偶者が会社員または公務員で、その扶養に入る場合は第3号被保険者になります。

保険料 負担はありません
手続き 配偶者の勤務先を通じて申請します
収入の要件 年間130万円未満の見込み
給付金を受け取っていると、扶養に入れない場合があります

失業手当や傷病手当金は、扶養の判定では収入として扱われます。日額3,612円を超えると、扶養に入れないのが一般的です。

詳しくは扶養に入ると給付金はどうなる?をご覧ください。

よくある質問

手続きを忘れていました

退職日の翌日にさかのぼって加入することになります。保険料もさかのぼって請求されますが、免除の申請も同時にできます。まず市区町村の窓口へご相談ください。

免除の申請はいつまでにすればよいですか

申請できるのは、申請時点から2年1か月前までの期間です。ただし早めに申請したほうが、未納期間が生じるリスクを避けられます。国民年金の切り替えと同時に申請することをおすすめします。

免除を受けると将来の年金はどのくらい減りますか

全額免除の期間は、納付した場合の2分の1が反映されます。たとえば1年間全額免除を受けた場合、その1年分の年金額は納付した場合の半分になります。追納すれば、全額納付したのと同じ扱いになります。

傷病手当金を受け取っている場合はどうなりますか

傷病手当金は非課税で、所得には含まれません。ただし失業を理由とする免除の特例を使うには、離職を証明する書類が必要です。窓口にご確認ください。

再就職したら手続きは必要ですか

就職先で厚生年金に加入するため、ご自身での手続きは不要です。会社が届出を行います。

まとめ

この記事の要点
  • 退職すると国民年金へ切り替わります。手続きは14日以内です
  • 保険料は所得に関わらず定額です
  • 失業を理由とする免除の特例があり、前年の所得は審査から除かれます
  • 未納と免除はまったく違います。未納は障害年金の対象外になる場合があります
  • 免除を受けた期間は、あとから追納できます

年金の手続きは後回しにされがちですが、未納のまま放置すると、いざというときの保障を失うことがあります。

払えない場合こそ、窓口で相談してください。相談は無料です。

参考にした公的機関の情報

本記事は制度の一般的な説明です。免除の可否は日本年金機構が審査します。保険料額は年度により変わります。

当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。年金の手続きそのものに関するお問い合わせは、年金事務所または市区町村へお願いいたします。

本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。

※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。

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