コラム

退職後の住民税・所得税|給付金に税金はかかる?確定申告は必要?

/最終更新:2026年8月5日
この記事の結論

傷病手当金と失業手当は、どちらも非課税です。所得税も住民税もかかりません。

ただし住民税は前年の所得にかかるため、収入がなくなっても納付は続きます。退職した年は、確定申告で還付を受けられる可能性があります。

この記事でわかること
  • 給付金に税金がかかるかどうか
  • 退職後の住民税をいつ、どう払うのか
  • 確定申告で還付を受けられるケース

退職して収入が減ったのに、住民税の納付書が届いて驚く方は少なくありません。

住民税は前年の所得に対してかかるため、収入がなくなった年にも支払いが続きます。この記事では、その仕組みと、負担を軽くできる可能性のある手続きを整理します。

給付金に税金はかかりません

図解1|給付金と税金
給付 課税
傷病手当金 非課税
失業手当(基本手当) 非課税
再就職手当 非課税
退職金 課税されます(退職所得として優遇されます)
給与 課税されます

傷病手当金は健康保険法により、失業手当は雇用保険法により、いずれも課税されないことが定められています。確定申告の際に収入として申告する必要もありません。

ただし「収入として扱われる場面」はあります

税金はかかりませんが、次の場面では収入として扱われます。

健康保険の扶養の判定:日額3,612円を超えると扶養に入れないのが一般的です
一部の自治体の制度:判定基準に含まれる場合があります

扶養との関係は退職後の健康保険はどうする?で解説しています。

住民税は前年の所得にかかります

ここが、退職後にもっとも驚かれるにつながる部分です。

図解2|住民税のかかり方
税金 いつの所得にかかるか
所得税 その年の所得(給与から毎月天引き)
住民税 前年1〜12月の所得(翌年6月から納付)

住民税は1年遅れてかかるため、退職して収入がなくなっても納付が続きます。

金額の目安

住民税は、おおよそ前年の課税所得の10%です。年収400万円ほどの方であれば、年間で15万円から20万円程度になることが一般的です(控除の状況により異なります)。

収入がない状態でこの金額を納めることになるため、あらかじめ見込んでおく必要があります

退職月による徴収方法の違い

在職中は、住民税が毎月の給与から天引きされています(特別徴収)。退職すると、この方法が使えなくなります。

図解3|退職月と住民税の扱い
退職月 残りの住民税の扱い
1月〜4月 原則として、最後の給与や退職金から一括で天引きされます
5月 その月分が天引きされ、6月から新年度分が始まります
6月〜12月 自分で納付する(普通徴収)か、一括徴収を選べます

1月〜4月に退職する場合はご注意ください

最後の給与から、まとまった額が引かれることがあります

1月から4月に退職する場合、その年度の残りの住民税(最大5月分まで)が最後の給与や退職金から一括で天引きされるのが原則です。

数か月分がまとめて引かれるため、手取りが想定より大きく減ることがあります。退職前に、経理・総務へ確認しておくことをおすすめします。

6月〜12月に退職する場合

市区町村から納付書が届き、自分で納めることになります(普通徴収)。年4回に分けて納付するのが一般的です。

会社に申し出れば、退職時に一括で天引きしてもらうこともできます。あとから納付書が届くのが不安な方は、この方法もあります

確定申告で還付を受けられるケース

退職した年は、確定申告をすると所得税が戻ってくる可能性があります

なぜ還付されるのか

給与から天引きされる所得税は、「1年間その給与が続く」という前提で計算されています。

年の途中で退職すると、実際の年収は想定より少なくなります。その結果、払いすぎた所得税が生じます

図解4|還付を受けられる可能性があるケース
1
年の途中で退職し、その年に再就職しなかった
年末調整を受けていないため、払いすぎた所得税が精算されていません。

2
医療費が年間10万円を超えた
医療費控除を受けられます。通院が続いた方は該当する可能性があります。

3
国民健康保険料・国民年金保険料を自分で納めた
社会保険料控除の対象です。全額が所得から差し引かれます。

4
生命保険料・地震保険料を払っている
年末調整で申告していない場合、確定申告で控除を受けられます。

医療費控除の注意点

医療費控除では、保険金などで補填された金額を差し引いて計算します。

傷病手当金は「療養の対価として支払われるもの」ではないため、原則として差し引く必要はないとされています。ただし高額療養費や医療保険の給付金は差し引きの対象です。

判断に迷う場合は、税務署または税理士にご確認ください。

申告の時期

確定申告は、翌年の2月16日から3月15日までが原則です。ただし還付を受けるための申告(還付申告)は、翌年1月1日から5年間できます。

過去に申告し忘れている年があれば、さかのぼって申告できる可能性があります。

払えないときの対応

収入がない状態で住民税を納めるのが難しい場合、市区町村に相談できます

制度 内容
徴収猶予 失業や病気などの理由がある場合、納付を待ってもらえることがあります
分割納付 分割して納めることを認めてもらえる場合があります
減免 要件を満たせば、税額そのものが軽減される場合があります
放置すると延滞金がかかります

納付書が届いたまま放置すると、延滞金が加算され、最終的には財産の差押えに至ることもあります

払えない事情がある場合は、期限が来る前に市区町村の窓口へ相談してください。相談すれば、多くの場合は何らかの対応をとってもらえます。

国民年金保険料についても、失業を理由とする免除・納付猶予の制度があります。あわせて相談してください。

受け取れる金額と、必要な支出を確認できます

月収と退職予定日を入れるだけで、受け取れる見込み額と、
いつ・いくら入金されるかのスケジュールが表示されます。

受給額をかんたん試算する

※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります

よくある質問

傷病手当金を受け取ったら、確定申告は必要ですか

傷病手当金自体は非課税のため、申告の必要はありません。ただし年の途中で退職して年末調整を受けていない場合は、給与所得について申告することで還付を受けられる可能性があります。

失業手当を受け取ると、扶養から外れますか

税法上の扶養(配偶者控除など)では、失業手当は所得に含まれないため影響しません。ただし健康保険の扶養では収入として扱われ、日額3,612円を超えると外れるのが一般的です。税と健康保険で判定が異なります。

退職金にも税金がかかりますか

かかりますが、退職所得として大きく優遇されています。「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、適正な額が源泉徴収され、原則として確定申告は不要です。提出していない場合は、確定申告で還付を受けられることがあります。

住民税の納付書が2種類届きました

年度をまたぐ場合、前年度分と当年度分が別に届くことがあります。内容をご確認のうえ、不明な点は市区町村の窓口へお問い合わせください。

翌年の住民税はどうなりますか

退職した年の所得が少なければ、翌年の住民税は大きく下がります。給付金は非課税で所得に含まれないため、給付だけで過ごした年は、翌年の住民税がほとんどかからない場合もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 傷病手当金・失業手当・再就職手当は、いずれも非課税です
  • 住民税は前年の所得にかかるため、退職後も納付が続きます
  • 1月〜4月に退職すると、最後の給与から一括で天引きされることがあります
  • 年の途中で退職した年は、確定申告で還付を受けられる可能性があります
  • 払えない場合は、期限前に市区町村へ相談してください

給付金そのものに税金はかかりませんが、住民税の負担は退職後も続きます。受け取る金額だけでなく、出ていく金額も見込んでおくと、生活の見通しが立てやすくなります。

退職後のお金の流れ全体について確認したい場合は、一度ご相談ください。

参考にした公的機関の情報

本記事は制度の一般的な説明です。税額の計算や控除の適用は個別の事情により異なります。具体的な判断については、税務署または税理士にご確認ください。

当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。税務に関する個別の相談には応じられません。

本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。

※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。

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