給付金の不正受給とは?返還額と、知らずにやってしまう5つのこと

失業手当の不正受給が発覚すると、支給を受けた額の返還に加えて、その2倍の額の納付を求められます。合計で受け取った額の3倍です。
問題なのは、悪意がなくても該当してしまう場合があることです。とくにアルバイトの申告漏れは、意図せず不正受給になりやすい典型例です。
- 不正受給と判断されるとどうなるか
- 知らずにやってしまいやすい5つのこと
- 間違いに気づいたときの対応
「不正受給」と聞くと、意図的にだます行為を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、制度を知らなかったために結果として不正受給とされてしまうケースがあります。この記事では、そうならないために知っておきたい点を整理します。
不正受給とされるとどうなるか
| 処分 | 内容 |
|---|---|
| 支給の停止 | 不正のあった日以降、失業手当は支給されなくなります |
| 返還命令 | すでに受け取った額の返還を求められます |
| 納付命令 | 返還額の2倍にあたる額の納付を命じられることがあります |
| 財産の差押え | 納付しない場合、財産が差し押さえられることがあります |
| 刑事告発 | 悪質な場合、詐欺罪として告発されることがあります |
金額にすると
受け取った額が50万円だった場合、返還50万円に加えて納付100万円、合計150万円を求められることになります。
返還を求められるのは、不正があった1回分だけではありません。
不正のあった日以降に受け取ったすべての給付が対象になります。1回の申告漏れが、それ以降の全額に及ぶことがあります。
知らずにやってしまいやすい5つのこと
アルバイトは「禁止」ではありません
失業手当を受けながらアルバイトをすること自体は、禁止されていません。
働いた日数や収入に応じて、その日の支給が先送りになったり、減額されたりするだけです。日数が減るわけではありません。
問題になるのは申告しなかった場合です。申告さえすれば、不正受給にはなりません。
申告のしかた
失業認定申告書に、働いた日をカレンダー形式で記入する欄があります。そこに印を付け、収入額を記入します。
判断に迷う場合は、認定日にハローワークの窓口で相談してください。迷ったら申告するのが安全です。
なぜ発覚するのか
「バレないのでは」と考える方がいますが、発覚する経路は複数あります。
| 経路 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険の加入手続き | 就職先が雇用保険に加入させた時点で記録に残ります |
| マイナンバーによる情報の連携 | 行政機関の間で情報が照合されます |
| 事業所への調査 | ハローワークが事業所に確認することがあります |
| 第三者からの情報提供 | 通報窓口が設けられています |
とくに1つ目は避けようがありません。雇用保険に加入すれば、その事実は必ず記録されます。
傷病手当金の場合
傷病手当金にも、不正受給に対する規定があります。
| 処分 | 内容 |
|---|---|
| 返還命令 | 受け取った額の返還を求められます |
| 加算金 | 詐欺その他不正な行為による場合、返還額に一定の割合を加えた額を徴収されることがあります |
| 刑事告発 | 悪質な場合、詐欺罪として告発されることがあります |
該当しうる例
| 働いていたのに申請した | 労務不能であることが支給の要件です |
|---|---|
| 給与が支払われていたのに申告しなかった | 給与がある期間は支給されません(差額を除く) |
| 症状を偽って診断を受けた | 医師への申告が事実と異なる場合 |
令和7年12月、国民生活センターから、この分野のサービスについて注意喚起が公表されています。症状がないのに受診や診断書の取得を促す勧誘が問題として挙げられています。
傷病手当金は、医師が労務不能と判断した場合の制度です。労務不能かどうかを判断するのは医師であり、本人でも事業者でもありません。
医師には、ご自身の状態を正直にお伝えください。よく見せる必要も、悪く見せる必要もありません。
間違いに気づいたら
申告漏れに気づいた場合、できるだけ早くハローワークまたは保険者へ申し出てください。
自ら申し出た場合と、調査によって発覚した場合とでは、取り扱いが異なることがあります。隠し通そうとするほど、結果は重くなります。
月収と退職予定日を入れるだけ。事実にもとづく試算です。
受け取れる見込み額と、受給スケジュールが表示されます。
※ 試算です。実際の支給は各窓口の審査により決まります
よくある質問
必要です。時間や収入の多寡にかかわらず、働いた事実があれば申告します。申告すれば、その日の支給が先送りになるだけで、日数が減るわけではありません。
収入がなくても、働いた事実があれば申告が必要です。無給の手伝いやボランティア的な活動でも、就労とみなされる場合があります。判断に迷う場合は窓口へご相談ください。
実績がない場合、その認定期間分は支給されません。ただし日数が消えるわけではなく、支給が先送りになるだけです。虚偽の記入をすると不正受給になりますので、正直に申告してください。
事実と異なる申告を勧める事業者であれば、その助言には従わないでください。不正受給の責任は、最終的に申請したご本人が負うことになります。判断に迷う場合は、ハローワークや保険者に直接ご確認ください。
事情によっては相談に応じてもらえる場合があります。放置すると延滞金が加算され、財産の差押えに至ることもありますので、まず窓口へご相談ください。
まとめ
- 失業手当の不正受給は、返還額に加えてその2倍の納付を求められます
- 返還の対象は不正のあった日以降のすべてです
- アルバイトの申告漏れが、意図せず該当してしまう典型例です
- 働くこと自体は禁止されていません。申告すれば問題ありません
- 間違いに気づいたら、早めに窓口へ申し出てください
制度を知らなかったために不正受給とされてしまうのは、避けられることです。迷ったら申告するという姿勢でいれば、まず問題は起きません。
ご自身のケースで判断に迷う場合は、ハローワークや保険者へ直接ご確認ください。当社でも、事実にもとづく範囲でご案内しています。
- ハローワークインターネットサービス|不正受給の防止、失業の認定
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)|傷病手当金
- 国民生活センター|給付金サポートに関する注意喚起
失業手当の申請|ハローワークでの流れと必要な持ち物
給付金の申請は自分でできる?サポートを使う判断基準
傷病手当金の申請書の書き方|4枚の記入者と提出の流れ
給付金サポートを選ぶときの注意点|契約前に確認したい7項目
本記事は制度の一般的な説明です。処分の内容や返還額は、個別の事情によりハローワークおよび保険者が判断します。
当サービスは民間の相談サポートであり、公的機関ではありません。症状のない方に受診をおすすめするものではなく、事実と異なる申告をおすすめするものでもありません。
本記事に記載の内容は、令和7年8月1日時点のものです。制度改正により変更される場合があります。
※本記事は制度の一般的な説明です。個別の可否・金額は、健康保険の保険者およびハローワークの審査により決定されます。記事内容は公開時点の情報にもとづきます。